水戸地方裁判所 昭和28年(行)22号 判決
原告 山田重雄 外四六名
被告 渡里村選挙管理委員会委員長
一、主 文
渡里村選挙管理委員会が昭和二八年一二月四日原告等の各異議申立を棄却した決定はいずれもこれを取り消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
二、事 実
原告等訴訟代理人は主文同旨の判決を求め、その請求原因としてつぎのとおり述べた。
(一) 原告等の異議申立に対し渡里村選挙管理委員会が棄却の決定をなした経緯
渡里村選挙管理委員会は昭和二八年九月一五日現在により管轄区域の東茨城郡渡里村に住所を有する選挙人につき選挙資格を調査して基本選挙人名簿を調製し、所定の手続に従い縦覧に供した。原告等は右縦覧期間中右名簿に原告等の脱漏を発見したので、同年一一月一六、一七の両日に亘り同委員会に対し、相前後して之を理由としそれぞれ異議の申立をしたところ、同委員会は原告等はいずれも右渡里村所在の茨城大学星嶺寮に居住しているとはいうものの学資その他の経費の大半を父母の仕送りにまち、両親と独立して生活を営むものではないから、原告等の住所はそれぞれ両親の住家の所在地にあつて、渡里村に存するものとは認められないとの理由のもとに同年一二月四日原告等の右各異議申立を棄却する旨の決定をなし、同月六日原告等にそれぞれその旨の通知がなされた。
(二) 渡里村選挙管理委員会の右決定が取消さるべき理由
同委員会が原告等の住所を両親の住所にありと認定するの誤りを犯したのは地方自治庁選挙部長が各都道府県選挙管理委員会に宛て昭和二八年六月一八日自丙選発第一三九号を以て発した寮、寄宿舎又は下宿等に居住している学生、生徒で、その学費の大半を郷里からの仕送りに仰ぎ、休暇に帰省する者の住所は郷里にあるとの通牒に従つたからであろう。然し右通牒が選挙法上の住所について解釈を誤つたものであることはその後自治庁のとつた措置その他の経緯に徴しても明らかなところである。
従来内務省は学生、生徒の選挙法上の住所につき、修学のため寮下宿等に居住するときは原則として寮、下宿等の所在地にありとし、長期療養者についても同様に取扱い(昭和二一年五月二二日地発乙第二五七号地方局長通牒、昭和二二年四月六日北海道選挙管理委員会宛地方局長回答)何等の疑ももたれなかつたところ、昭和二八年六月一八日に至り自治庁は突如前示通牒を発して従前の取扱いを改めたので、右通牒は学生の選挙権の行使を困難ならしめるものであるとし、或は余りに財産関係を重視し、ないしは旧家族主義にとらわれた見解であるとして、世論の轟々たる非難攻撃をうけた結果、同庁は同年八月二四日自丙選発第一六六号選挙部長通牒、次いで同年九月一〇日自丙選発第一七八号選挙部長回答、同月二九日自乙発第六七七号選挙部次長通牒等を相次いで発し、同庁の前記取扱いは終戦後における有権者の急激な増加、交通、住宅難等特殊の事情により正確な住所の認定が困難を極めたので学生の住所を便宜その所在地にありと扱つたにすぎないとし、或は学費の出所は学生の住所を認定する一の認定資料にすぎないとして、旧憲法当時の家族制度に捉われた学説、判例を引用してしきりに強弁これ努めるところがあつた。かようにして自治庁はさきに発せられた通牒の見解を維持する自信を欠き又後にはこれを実質的に改めたのであるから、自らその非を認めているといわれても仕方がないであろう。
更に法律の解釈の上からいつても、前記通牒の見解が誤りであることは容易に指摘しうるところである。凡そ法はその目的に適合するようその規定する対象に従い夫々合理的に且つ技術的に解釈されねばならないことは多言を要しないであろう。従つて選挙法上の住所は民法上の若しくは民事訴訟法上の或は旧貴族院多額納税議員の互選についての住所とは別箇にその目的に照して考えるべきである。このような観点から公職選挙法の住所を検討するときは、同法の目的に照し、
(1) 選挙権を最も「有効」に行使しうること
(2) 選挙権を最も「容易」に行使しうること
(3) 住所の認定が最も「容易」且つ「確実」であること
の諸点からその認定の基準を導くべきであろう。
(1) 選挙権の「有効」な行使の点について
選挙権は国民の政治に参与する基本権であり、又一般国民にとり政治に参与する殆んど唯一の機会でもあるから、その行使が慎重に行われねばならないことは論をまたないところであつて、そのために最も必要なことは候補者の人柄とその政策を知ることでなければならない。従つてこれが判断の有力な資料となるべき選挙運動のために使用若しくは利用を許されている各種文書、新聞、放送若しくは候補者の演説等は各有権者に対しこれを閲読し若しくは聴取する機会を十分に与えられねばならない。然るに在寮中の学生の住所を郷里にあると解するときには、学生は主として郷里において行われるこれらの方法による選挙運動に接する機会を失い、いわば選挙運動をうける権利を奪われるに等しいものであつて、その損失は不在者投票制度を以て補うには余りにも莫大であるといわねばならない。因みに原告等のうち帰省中の五名を除いた他の者につき調査したところによると、年間を通じ在寮日数の平均は二七六・六日、帰省日数の平均は八八・四日であつて、一年中の約七割六分は在寮していることが認められるので、この点から推しても在寮学生の住所は寮所在地にあると考えるべきであろう。
(2) 選挙権の「容易」な行使の点について
民事訴訟法が裁判管轄を規定するに当つて、当事者にとり地理的に最も便宜な裁判所に訴を提起しうるよう考慮を払つていると同様に、選挙法上においても住所を解釈するに当つては、最も容易に投票をなしうる場所で投票ができるよう考慮されねばならないことは当然のことであろう。従つて前記の調査によつても明らかなように一年の大半を寮において送る在寮学生に対しては選挙権の行使をその居住地においてなさしめるのが、帰省に要する日数の点からいつても又旅費の点からいつても最も便宜な措置といい得よう。このような点を顧慮するときは、在寮学生の住所は寮所在地にあると考えるのが至当な解釈というべきである。
(3) 住所認定の「容易」且つ「確実」の点について
前記のように自治庁の見解によれば、市町村選挙管理委員会は住所の認定をするに当り学費の出所、帰省の回数その他家族との綜合的な法律関係等を調査することとなるので、右調査事項の性質上いたずらに巨額の調査費用と労力とを費し、事務処理に困難を来たすことは容易に予想されるところである。
又このような複雑な基準により住所の認定がなされるときは、各選挙管理委員会により住所の認定に相異を来たすことは必定であるから、学生のうちには居住地と郷里の選挙人名簿に二重に登録される者や反対に居住地、郷里いずれの名簿にも登録されない者が生ずるに相違ないであろう。
自治庁の見解はこのような欠陥を伴うので、在寮学生の住所は寮所在地にあつて、単に三ケ月以上にわたり居住するということだけを以て名簿に登録する扱いをするに如くはない。
以上の説明によつて明らかなように在寮学生の住所は寮所在地にありとすることが選挙法の目的に照し、最も合理的な解釈といわねばならない。このことは前述の如く従前学生と同様の取扱いをなされてきた長期療養者の住所につき、その後公職選挙法第二七〇条第二項においてその入院加療中の場所にあるものと推定してはならないと規定したにもかかわらず、学生の住所については従前の取扱いを存置したことに徴してもその合理性を裏付けるであろう。
ところで原告等はいずれも茨城大学生であつて、入学当時多数の応募者のうちから厳選の上前記星嶺寮への入寮を許され、昭和二八年四月又はそれ以前に入寮し爾来全学年を通じ若しくは基礎課目の過程終了に至るまで一年ないし四年間専ら修学のため継続的に在寮するものであり、原告等のうち大部分の者に対する住民登録法による登録亦前記渡里村においてなされているのであるから、仮に在寮の要件を厳格に解する立場をとつても、原告等の住所は明らかに昭和二八年九月一五日まで引き続き三ケ月以来寮所在地たる渡里村にあるというべきである。
従つて渡里村選挙管理委員会は住所以外の選挙資格の要件をも具備している原告等を前記基本選挙人名簿に登録すべきであつたのであるが、同委員会は法律の解釈適用を誤つて原告等の住所を寮所在地でなく、両親の住所地にありとし、右名簿より原告等を脱漏し、これを不服とする原告等の各異議申立に対してもそれぞれ正当でないと決定したのであるから、該決定は取消を免れない。
被告訴訟代理人は原告の請求を棄却する旨の判決を求め、答弁としてつぎのとおり述べた。
原告等主張の事実のうちその主張の如く渡里村選挙管理委員会が基本選挙人名簿を調製し、之を不服とする原告等の各異議申立をそれぞれ棄却する決定をなした経緯の点(前掲(一)の事実)原告等が選挙資格のうち住所要件以外の要件を具備すること及び原告等がその主張の如く茨城大学生であつて、渡里村内の星嶺寮に居住していることはいずれも認める。同委員会は原告等本人はもとより、その父兄に対しても調査資料についての解答を求めた上、原告主張の前記自治庁通牒の趣旨をも参酌した上、慎重調査審議した結果、原告等はいずれもその学資の大半を郷里の父兄の仕送りに依存し、休暇には郷里に帰省している等の事実を認定し、その住所は郷里にあるものと判断されたので、原告等を基本選挙人名簿に登録することなく、又原告等の異議申立に対してもそれぞれこれを正当でないとして棄却する決定をしたのである(各証拠省略)。
三、理 由
渡里村選挙管理委員会が本件異議棄却決定をなしそれが原告等に通知せられるまでの原告主張の経過事実及び原告等が本件基本選挙人名簿確定の期日において満二〇年以上の者であり、いわゆる欠格事由の存する者はなく、右名簿登録の要件として住所要件以外の要件を具備していたものであることは当事者間に争がない。原告等が本件基本選挙人名簿に登録せられるべきものか否かは、かかつて原告等が右選挙人名簿調製の基準日たる昭和二八年九月一五日現在において、引き続き三ケ月以来茨城県東茨城郡渡里村に住所を有するものと認めらるべきか否かにある。
元来民法第二一条によれば、住所とは各人の生活の本拠をいうものとされているのではあるが、種々の法令において住所のことが規定されている場合には、それはそれぞれ当該法令の独自の技術的要請に基いており、当該法令ないし法条の達成せんとする独自の立法趣旨に従つてその規定が設けられているのであるから、住所の認定に当つては右の技術的要請、立法の趣旨に即し、それとの関連において考えるのが相当であり、具体的な係争の法律関係を離れて、「住所」「生活の本拠」の存否を認定するというのは不合理であり、又無理なことでもあるといわねばならない。
そして、公職選挙法第九条に三ケ月以上にわたる住所の要件を規定し、地方公共団体の議会の議員及び長並びにその教育委員会の委員の選挙権の要件としたのは、国民各自が最も深い政治的な結び付きをもつている土地の地方公共団体、国民各自の市民生活が政治的に最も大なる影響を受け、従つて又国民各自の政治的関心の最も深かるべき地方公共団体の政治に参与せしめんとし、地方自治上の選挙権の行使が最も適正に行われることを期したものであり、同法第二〇条に三ケ月以上にわたる住所の要件を掲げたのも、選挙人名簿の調製について登録資格者の調査認定ということから生ずる要請(これ亦選挙権者が適確に捕捉され選挙権が間違なく行使されることをねらいとするものである)の外に国会議員の選挙につき候補者に対する適確な認識を得しめ、選挙運動等との関係において、適正な選挙権の行使を期せんとするを主たる趣旨とするものと思われる。であるからして、公職選挙法上の住所の所在地たるがためには、ある人にとつて前記のような政治的地縁関係が最も直接的な土地で、そして選挙権の行使が最も適正に行わるべきところでなければならない。
そこで右のような立場から原告等の生活関係について検討するに、原告等がその主張の如く茨城大学学生であつて、前記渡里村内に存する同大学の附属星嶺寮に居住していることは当事者間に争がないのであるが、更に原告各本人尋問の結果により真正に成立したものと認める甲第一ないし第五〇号証(但し第八・第二四・第三七号証を除く)成立に争のない甲第五一号証の一、二・同第五二号証・乙第一号証・同第二ないし第一五号証の各一ないし三(但し第七号証を除く)第一六号証第一七ないし第一九号証の各一ないし三・第二〇号証・第二一ないし第三四号証の各一ないし三(但し第二三号証を除く)第三六ないし第四八号証の各一ないし三及び原告等各本人尋問の結果(原告山田重雄については第一、二回)その他弁論の全趣旨を合せ考えると、原告等はいずれも入学に際し、実家等からの距離が遠く通学が不可能ないし甚だ困難のため、多数の応募学生のうちから厳選の上入寮を許され、爾来最も長期の者において四年間最も短期の者において一年間在寮の予定の下に右寮に居住し、本件名簿調製の基準日当時までに最も長期の者は約三年、最も短期の者は五ケ月間を経過していること、前記大学の学則によつて、休業は原則として春季休業三月一一日より同月三一日まで夏季休業七月一一日より九月一〇日まで、冬期休業一二月二五日より翌年一月七日までと定められており、日曜祭日の外臨時に試験休み等数日があるのであるが、右の日曜祭日等以外のいわゆる休暇に際しては原告等は郷里もしくはそれ以外の親戚の許に、休暇の全期間又はその一部帰省するけれども、配偶者があるわけではなく、又管理すべき財産をもつているわけでもないので、従つて休暇以外にもしばしば実家等に帰る必要もなく、又そのような事実もないこと、休暇以外にもたまに休日を利用し実家等に帰る者もあるが、全体としてみれば、前記休暇に際して帰省する外、年間を通じその大部分を右寮において起居し、在寮一年にみたない者においても同様の予定の下に勉学にいそしんでいること(尤も原告福屋洋一は基準日後昭和二八年一二月中寮を出て渡里村で他の学生と共同で一戸を借り受け居住している)、主食の配給も、後記のような休暇に際しての特別の場合を除き渡里村で受けているし、住民登録法による住民登録も、次の六名を除いては、いずれも前記基準日当時同村においてなされていたこと(尤も昭和二八年一二月に至り職権で消除された)その六名のうち、原告橋本嘉吉、宇梶三男、塚田清子の三名は渡里村に住民登録がなされていたところ、夏季休暇に実家に帰省するに際し、主食受配のため異動証明書を実家所在地の役場に提出したところ、その役場から渡里村に連絡して住民登録が取り消されたもので、一般には右のような場合には休暇中主食の配給を実家の方で受けることにしても、それはむしろ臨時的なものであるから、住民登録の方は元のままにしておく取扱がなされていたのであつて、右三名についても自ら進んで実家の所在地に登録したのではないこと、又原告福屋洋一、市ノ沢和子の両名は昭和二七年の一斉登録後に入寮したものであるが、手続を怠つていたため、渡里村で登録されなかつたものであり、原告出沼盛雄は右一斉登録がなされた当時寮に不在であつたため当時渡里村に登録されずその儘経過したに過ぎず、いずれも故意に登録の手続をとらなかつたものでないことが認められる。
このように原告等はいずれも約一年以上四年間の期間にわたり、その期間内に関するかぎり、他に特段の事情の認むべきものなき本件にあつては右の寮を学生たる自己の市民生活の場所として過す予定の下に、入寮以来現実に居住してきたものであるから、前段説示の趣旨に照しこのような場合においては、公職選挙法の関係においても、原告等の市町村住民としての生活は前記寮を中心として営まれており、その寮のあるところこそ原告等の住所に外ならないものと認めるのが相当である。
前記甲第一ないし第五〇号証(第八・第二四・第三七号証を除く)によれば、原告等のうち昭和二六年九月及び同二七年九月の基本選挙人名簿調製基準日の三ケ月以上以前より入寮している者は、渡里村選挙管理委員会の同選挙人名簿に登録され、その後に行われた総選挙に際しては、いずれも渡里村で選挙権を行使していることが認められるが、右は前記説示のとおり至当なことであつて、今に至つて右は誤つて選挙権の行使を認められたものであるとすることこそ却つて不当の処置というべきである。
被告は、原告等の住所が郷里の実家にあるものと主張し、その根拠として、原告等が学資の大半を実家の出捐に仰ぎ、又休暇毎に帰省することを挙げているのであつて、それは右の様な場合にあつては原告等の寮における生活は、単に郷里における父母その他家族との共同生活の延長として一時的な仮ずまいにすぎず、市民生活として独立した意味をもつ生活を営んでいるものでないという考え方から出ているものと思われる。しかしながら、そのような考え方そのものが果して今日の社会の実態に即したものといえるであろうか、たとえ、いわゆるアルバイトはやらずとも、それらの学生は決してその土地の一般市民社会と隔絶せられ、ただひたすらに寮と学校構内とを自己の小天地として過しているわけではなく、寮所在地の一般市民社会の中にとけ込んで生活しているものとみるべきであり、又年間の大部分を寮で過している以上、少くとも平常は(即ち年間を通じ全体としてみれば)親許と一応切りはなされて生活しているものとみるのがむしろ事の実相にそうた見方であると思われる。従つて年中頻繁に帰省するとか、回数こそ少いけれども、寮にいることは却つて少く、むしろ実家等における生活の方が主であつて、寮の方はいわば籍だけを置いているというに近いような生活関係であるとすれば結論はおのずから別となるであろう。本件ではそのような事実関係でないこと前認定のとおりである。そして前記のような場合において、当該学生の郷里との政治的地縁関係の存続を否定し得ないことは勿論ではあるが、それだからといつてそれが前記のような現実の居住地よりも更に一層直接的なものであるとはいい難く、殊に選挙権の行使という面からすれば不在者投票の制度の存することを考慮に入れても郷里における選挙権の行使がその適正を期する所以でないことは多言を要しないところである。
本件において原告各本人の供述と乙第一ないし第四八号証(第七・第二三・第三五号証を除く、第一・第一六・第二〇号証以外はそれぞれの三)によると、原告等のうち山田重雄、河合淳、大久保芳男、鶴見安由、牧野満男、内田有司は学資の半以上を奨学資金と自己のアルバイトのみによつて得ており、又坂本茂雄は自己が警察予備隊の勤務を終えて得た退職金を学資の全部に充てており、伊藤憲治、関稔、大和田俊、松下勤、武林瑞樹、鈴木悟郎、曳野淑子は全部実家の仕送りにまち、他の者は学資の半ば近く又はそれ以下の一部を奨学資金又は自己のアルバイトによつて得、その他を実家の仕送りによつて得ていることがうかがわれるのであるが、学資の大半を実家の仕送り以外のもので充てているからといつて、そのことのために寮が住所と認められるというのではなく、同時に又学資の全部ないし大半を実家からの仕送りによつて得ているからといつて、そのために寮を住所と認めないというわけのものでもない。
以上の次第で被告の主張するような事情は、原告等について前記住所の認定を妨げる根拠としては首肯し難いのであり、他に右認定をくつがえすに足る事情について何らの立証もないのであるから、原告等はいずれも渡里村選挙管理委員会において昭和二八年九月一五日を基準日として作成された基本選挙人名簿に登録せらるべき要件をみたしており、同委員会において原告等が右選挙人名簿に登録せらるべきものでないとし、更に原告等の異議申立を棄却したのは違法であるといわねばならない。よつて右棄却の決定の取消を求める原告等の本訴請求はこれを正当として認容すべきものとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条を適用し、主文のとおり判決する。
(裁判官 多田貞治 中久喜俊世 石崎政男)
(別紙目録省略)